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Sweet dreams,

映画、音楽、好きなものに関するあれこれ

『17歳の肖像(原題An Education)』感想ー60s 英国女子の通過儀礼

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1961年のイギリスが舞台。芸術やジャズ、パリに憧れる早熟な女子高生ジェニー(キャリー・マリガン)が、年上の男性デイヴィット(ピーター・サースガード)に連れられて、退屈な学校生活からは考えられないような華やかな社交界へ足を踏み入れる。デイヴィットやその友人たちとコンサートや上品なレストランに通い、果てはパリにまで行った主人公は、次第に学校の勉強に対し意味を見出せなくなっていく…というストーリー。

 

↓以下ネタバレ↓

ちょっと昔の映画で、地味だけど良作。大筋としては、主人公が恋愛で痛い目に遭いながらも大切なことを学ぶ、というまっとうな通過儀礼話になっていて、安心して観れます。

女性視点の戦後のイギリス社会が垣間見れて面白い。大学を卒業したところで、主婦やしがない教師になるしか道がない。周りの女性を見ても、希望なんて持てない。じゃぁ、なんのために学ぶのか?そんなにしんどい思いして勉強して就職しなくたって、玉の輿乗る方が良いじゃねえかどうなのよ!と迫るジェニーに対して「でもほら、教職以外にも公務員とかあるし…」と歯切れの悪い校長先生の言葉が残念至極。

程度の差はあれど、先が見えない、閉塞感のある社会での教育、という意味では普遍的なテーマかもしれません。戦後60年代、ビートルズが出てくる前のイギリスってほんっとうにシケてたんだな!!!ってのがよく分かります。この頃ってもろにアラン・シリトーが「土曜の夜と日曜の朝」とか描いてた時期でもありますね。

校長先生からは求める答えを得られなかった主人公ですが、最後それを、身近な女教師から見てとります。ひどくつまらなく見えた彼女も、自分の足で立って、自分の好きなものに囲まれ、立派に一人で生きている。若いうちにその責任と自由を他の誰かに託してはいけない、ということを実感として学んだ、というのが原題にもある「An Education」なんでしょう。

 

あと、この映画なんと言ってもキャストが良いです。

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筆頭キャリーマリガンは校長先生演じるエマ・トンプソンとの応酬のシーンでも、引けを取らない存在感。だんだん洗練されていく服装も凄く似合ってて可愛い。

 

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(左)デイヴィッド役のピーター・サースガードのにやけ顔は見るからに胡散臭いんだけど、高校生とかはこういう「大人」にコロリといくよね!っていう見掛け倒しの知性とか、紳士っぷりがイイですね。最後は不倫男テンプレ通りの退場で、ごっつあんです。 

(真中)しばらく”「ゴーンガール」の怖い人”として記憶されそうなロザムンド・パイク。教養はない、でも自分がどう立ち振る舞えば安全なのかということを理解している、憎めない女の役は説得力ありました。

(右)登場時間少ないけど、個人的にとても印象強かったサリー・ホーキンス。主人公と会った時の「嘘でしょう。あなた、子供じゃない」ってセリフが刺さります。

あと、女教師とか、主人公のお父ちゃんとかも凄くいい味出していました。

 

ある意味、分かりやすいストーリーで先が読めちゃう感もありますが、ファッションや文化的な描写と、俳優陣が良いので、今見ても楽しめる映画だと思います。